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赤司竜彦(メディコム・トイ)の
“華麗なるプレゼン”Vol.2
ゲスト・末安弘明さん(KIDDILデザイナー)【後編】

創造するキーマン

赤司竜彦の
“華麗なるプレゼン” Vol.2
ゲスト・末安弘明さん(KIDDILデザイナー)【後編】

2020 01 24

株式会社メディコム・トイの代表取締役社長を務める赤司竜彦さんによる対談企画。ここでは毎回、赤司さんが深掘りしたい方とトークセッションをしながら、「何か一緒におもしろいものを作りましょう!」とプレゼンする場に。今回は気鋭のファッションブランド、KIDILL(キディル)のデザイナー末安弘明さんをお招きして、知られざるブランドの歴史、そして華麗なるプレゼンへ、その結果はいかに!?

赤司竜彦 赤司竜彦
赤司竜彦(メディコム・トイ)の
“華麗なるプレゼン”Vol.2
ゲスト・末安弘明さん(KIDDILデザイナー)【後編】
創造するキーマン

赤司竜彦の
“華麗なるプレゼン” Vol.2
ゲスト・末安弘明さん(KIDDILデザイナー)【後編】

2020 01 24

株式会社メディコム・トイの代表取締役社長を務める赤司竜彦さんによる対談企画。ここでは毎回、赤司さんが深掘りしたい方とトークセッションをしながら、「何か一緒におもしろいものを作りましょう!」とプレゼンする場に。今回は気鋭のファッションブランド、KIDILL(キディル)のデザイナー末安弘明さんをお招きして、知られざるブランドの歴史、そして華麗なるプレゼンへ、その結果はいかに!?

赤司竜彦 赤司竜彦

第二回ゲスト
末安弘明さん

1996年、大村美容ファッション専門学校卒業。2002年に渡英。独学で服を作り始め、2004年に自身のブランド「HIRO(ヒロ)」を立ち上げる。2014年、KIDILL(キディル)をスタート。「KIDILL」とは、カオスの中にある純粋性を意味した造語。自身が90年代に体験してきたロンドンパンク、ハードコアパンク、ポストパンク、グランジ、などのカルチャーを軸に、現代の新しい精神を持った不良達へ向けた服を制作。2017年、「Tokyo 新人デザイナーファッション大賞」プロ部門の東京都知事賞を受賞。

「末安さんにとってバイブル的な存在だったわけですね」(赤司)
「気合いでご本人と繋がりました(笑)」(末安)

赤司 来季のコレクションのコラボがすごいというお話でしたけれども。
末安 18年春夏のテーマがPublic Image Ltd(パブリック・イメージ・リミテッド)で、デニス・モリス<※1>とコラボレーションをしたんです。それまではカルチャーと服を結びつけることに少し抵抗があったんですけど、せっかくデニスとやるんだから彼が撮影したジョン・ライドンの写真をいろんなアイテムに使ってパンクな服を作ろうと思って。
<※1>イギリスを拠点に活動するフォトグラファー。70年代にボブ・マーリー、セックス・ピストルズのポートレートを撮影。ジョン・ライドン率いるパブリック・イメージ・リミテッドのロゴ(PiL)やアルバム「Public Image」「Metal Box」のアルバムのスリーブケースも製作したことでも知られている。写真集『Destroy: Sex Pistols 1977』『A BITTA PIL』『The Bollocks: A Photo Essay of the Sex Pistols』など。
赤司 末安さんが服作りに対する思考を切り替えた時期ですね。
末安 さらに、次の18年秋冬のテーマが「THE DAMNED(ダムド)」で、シーラ・ロック<※2>とコラボしたんです。
<※2>アメリカ生まれのフォトグラファー。1970年に渡英。ボストン大学とロンドン・フィルム・スクールで教育を受け、イギリスの雑誌『The FACE』でキャリアをスタート。クラッシュ、ダムド、ピストルズといった70年代のロンドン・パンクシーンを切り取った写真を多数撮影。音楽以外にもファッション、広告など幅広い分野で活躍。2013年、写真集『Punk + , a document of punk from 1976-1980』を発表。
赤司 2020年春夏のコレクションでも彼女が撮ったピーター・マーフィーの写真を使っていますよね。その流れでいくと、次はどなたですか?
末安 次はジェイミー・リード<※3>です。
<※3>1947年、イギリス生まれ。アートスクールでセックス·ピストルズの仕掛人マルコム・マクラレンと出会い、アルバム『勝手にしやがれ(Never Mind the Bollocks)』などピストルズのアートワークを手がける。中でもエリザベス女王の写真の唇に安全ピンをあしらったシングル『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン(God Save the Queen)』のアートワークはパンク・ロック時代の象徴とされている。
赤司 おおーっ! ついに。
末安 最初コンタクト先がまったくつかめなかったから、赤司さんにどこへ連絡したらやれるんですかって1回メールしたんですよね。
赤司 そうなんです。うちはセックス・ピストルズ関連のアイテムはたくさんやっていますが、あれはピストルズのメンバーが版権を管理しているものですし、10年前にBE@RBRICKをやったときも代理店経由だったのでジェイミー本人には繋がらなくて。結局繋がったんですか? 

「NEVER MIND CUSHION」(2016年7月発売/完売)

http://www.medicomtoy.co.jp/search/11165.html
(C) 2016 Sex Pistols Residuals.
Under license by Live Nation Merchandise.
BE@RBRICK Jamie Reid 400%
2009年12月発売(完売)

http://www.medicomtoy.co.jp/search/4198.html
(C) Jamie Reid, Advantage cycle,Suicommi Underground All Rights Reserved.
BE@RBRICK TM & (C) 2001-2019 MEDICOM TOY CORPORATION. All rights reserved.

末安 気合いで繋がりました(笑)。どうにか探し当てて。去年、イギリスで活動50周年の回顧展があったんです。『XXXXX Catalogue 1968-2018』っていう分厚い作品集が出て。その中にある70年代のグラフィックからプライベートで作っていたものまで、かなり使わせてもらいました。
赤司 最高じゃないですか。
末安 俺、本当にジェイミー・リードが大好きで。パンクのビジュアルイメージを作ったと言っても過言ではないし、知名度から何からああいう世界で一番じゃないですか? 元祖というか、みんな影響を受けて。自分も中学生のときに買ったピストルズのアルバムを最初見たとき衝撃を受けたし、いまだにピストルズを聴いていますし。
赤司 末安さんにとってのバイブル的な存在だったわけですね。
末安 だから、ついにこの人とやる日が来たかと思うと感慨深いです。メールでやり取りさせてもらっているんですけど、あの方、誰でも彼でも一緒にやらないそうで。コレクションとしては2008年秋冬にCOMME des GARÇONS(コムデギャルソン)さんとやって、2017年秋冬にはVALENTINO(ヴァレンティノ)さんと。その次にコレクションブランドと本格的にやるのがKIDILLになります。
赤司 そうそうたる並びですね。
末安 しかも今彼は環境保護活動に完全に志向が向いていて。「KIDILLでも何か環境保護的なことをやってよ」って言っていたので、グラフィックに森林破壊をやめようみたいな最近の作品も使わせてもらっています。
赤司 Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)<※4>も環境保護活動を盛んにやっていますよね。
<※4>1941年イギリス生まれのファッションデザイナー。71年、マルコム・マクラレンとブティック「LET IT ROCK」をオープン。74に店名を「SEX」に変更)。75年にマルコムと共に従業員や常連客がメンバーのバンド、セックス・ピストルズをプロデュース。
末安 それをファッションと結びつけて何ができるかって考えたときに、次のコレクションでエドウィンとのコラボがあるんですけど、エドウィンもインディゴで染めた排水を浄化させる処理施設を工場に設備し、環境保護への取り組みを積極的にしているんです。
赤司 なるほど。環境に負荷をかけないように。
末安 自分でデニムを作ってもそこまで大規模な取り組みってできないじゃないですか? なのでエドウィン製品のデニムにジェイミー・リードのグラフィックを落とし込んだり、廃棄するデニムを再利用してショーに来てくれた人に配るエコバッグ作ったりして、そういう要素を自分なりに取り入れています。
赤司 今すごくサスティナブルが注目されていますよね。前回この連載に出ていただいたPOGGYさんがアドバイザーで参加している青山のコンセプトストア「Firsthand (ファーストハンド)」もサスティナブルがテーマですし。ヴィヴィアンやジェイミーみたいに70年代にバリバリ言わせていた人たちが揃ってそっちの方向に行っているような気がします。
末安 かもしれないですね。

「久しぶりに自分の手で作ってみようかな、って思っています」(末安)
「それ、全部買います(笑)」(赤司)

赤司 それにしてもKIDILL、絶好調ですね。
末安 最近はアメリカのラッパーの方々がめちゃめちゃ買ってくれるんです。セレブ的な人が着てくれるので自分でも驚いています。こっちに行くかって!
赤司 素晴らしい。でも、なんとなくわかります。今の感じを見ていると。これだけ忙しくなると、さすがにHIROの頃のようにたまには自分の手で1着ずつ作ってみようか、なんて思うことはないですか?
末安 あります。
赤司 あるんですか! だったら、ぜひうちで末安さんの作ったワンオフのお洋服を5着売る、みたいなことをやらせてほしいんですけれども。KIDILLでもいいですし、HIRO名義でもいいですし、
末安 それ実は何かのタイミングでやるつもりだったんです。名前も決めていて「THE PUNK 1976」っていうネームで一点ものの服をやりたいってここ1年ぐらいずっと考えていて。
赤司 「THE PUNK 1976」! すごい名前ですね。直球な。
末安 わかりやすいのがいいなと思って。俺が生まれた年だし、イギリスでパンクが盛り上がった年だし、ジェイミー・リードもその年からピストルズのアートワークを始めているんです。だから色々重なったなと思って。その名前でパンクのオートクチュールをやりたいんですよ。
赤司 それは楽しい。ドクター・ロマネリ(DRxROMANELLI)というアーティストのワンオフBE@RBRICKを作って表参道ヒルズに入っているMEDICOM TOY PLUSで定期的に販売しているんですけど、末安さんのパンクのオートクチュールを渋谷パルコにオープンした「2G」でぜひ扱わせてください。全部買います。
末安 「全部買います」って、久しぶりに聞いた言葉かもしれない(笑)。
赤司 素晴らしいアイディアです。末安さんのセンスは最初に作品を見たときからやられまくっていますから。この人は大丈夫だと思っていますので。
末安 ありがとうございます。だけど、今まったく時間が取れなくて。ずっといつやるかと思っていたんですけれども。
赤司 「今でしょ!」って感じですね(笑)。
末安 ハハハ! ここでやりますと言っちゃうと自分の首を絞めることになるんですけど(笑)。どっちにしても遅かれ早かれやろうと思っていたので、タイミングを見計らってやろうと思っています。
赤司 やった! 
末安 今、いろいろ繋がりましたね。結構そういう人生なんです。点と点が繋がって、どんどん進化していっている気がします。
赤司 ぜひやりましょう。また楽しみがひとつ増えました!

株式会社メディコム・トイ
代表取締役社長

赤司竜彦さん

1996年、株式会社メディコム・トイを設立。
2000年、自社商標のブロックタイプフィギュア「KUBRICK」(キューブリック)、2001年にはクマ型ブロックタイプフィギュア「BE@RBRICK」(ベアブリック)を発表し、世界中のアーティスト、ブランド、企業、キャラクターなどと多彩なコラボレーションを発信し続けている。
photo:Masako Nakagawa

  • PHOTO&EDIT:Daisuke Udagawa(M-3)
  • TEXT:Kunihiko Shinno
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